主な論点
「トレハロース使用」が無糖や無カロリーを意味するわけではありません。
甘味と保湿性を加える
ぶどう糖が2つ結び付いた二糖類です。甘味だけでなく食品の乾燥や品質変化を抑えるために使用されます。
菓子の保湿、冷凍・解凍時の品質調整、甘味の補助などに使われます。
デンプンに細菌由来の酵素(マルトオリゴシルトレハロース生成酵素・遊離酵素)を作用させて直接トレハロースに変換・結晶化して製造します。
以前は抽出困難でしたが、酵素法の開発によりデンプンから安価・大量生産が可能になりました。
「トレハロース使用」が無糖や無カロリーを意味するわけではありません。
『トレハロースを食べると感染症になる』という因果関係は確認されていません。一方、糖類として摂取する食品の総量や栄養成分は確認してください。
根拠の種類:食品の性質
トレハロースは砂糖と同じ化学構造の物質ではありませんが、糖類でありエネルギーをもつ原材料です。高甘味度甘味料と混同できません。
根拠の種類:WHOの栄養ガイドライン
添加された糖類を減らすというWHOの栄養上の考え方は、単一の糖を善悪で判断するものではありません。商品中のトレハロース量と他の糖類の量は、原材料表示だけでは把握できません。
根拠の種類:Natureの微生物学研究(2018)
一部のC. difficile株が低濃度のトレハロースを利用できる仕組みと、感染症の流行株での毒性との関係が動物モデルなどで報告されました。この研究は、菓子を食べた人に感染症が増えると示した介入試験ではありません。
根拠の種類:臨床分離株5232株の解析と患者追跡(2019)
C. difficile臨床分離株5,232株のゲノム解析と患者データの検討では、トレハロース代謝関連遺伝子は流行株以外にも広く見つかり、患者の死亡率など悪い転帰との関連は確認されませんでした。腸内モデルでもトレハロースの添加による毒性増強は示されませんでした。
根拠の種類:消化器感染症の総説(2021)
後続研究や臨床データを含む2021年の総説は、通常の食事からトレハロースを摂取したことがヒトのC. difficile感染症の発生・重症化を引き起こす因果関係は実証されていないと整理しました。懸念を生んだ基礎研究と後続の検証を両方読む必要があります。
| 項目 | 日本 | 米国 | EU |
|---|---|---|---|
| 規制の厳しさ | ゆるい | ゆるい | ふつう |
| 制度上の扱い | デンプンに微生物酵素を作用させて製造される非還元性二糖類であり、食品衛生法上は一般食品原料(糖質原料)として流通しています。 | FDAのGRAS通知(GRN 000045等)に基づき、異議なし(No questions)レターを受領したGRAS物質として食品に広く使用されています。 | 旧新規食品規則(EC)No 258/97に基づき、欧州委員会決定2001/721/ECにより新規食品(Novel Food)として認可され、規則(EU)2017/2470の新規食品ユニオンリストに収載されています。 |
| 使用条件 | 食品原料として使用上限はありません(適量使用)。砂糖の約45%の穏やかな甘味度を持ち、タンパク質の変性防止、デンプンの老化(硬化)抑制、優れた保水性や凍結解凍耐性を有するため、品質保持・物性改良に広く利用されます。 | 適正製造基準(cGMP)に従い各種食品区分で使用されます。 | 認可された食品原料として広範な食品区分で使用可能です(適量使用)。 |
| 原材料表示 | 原材料名欄に「トレハロース」と表示します。 | 原材料名欄に「trehalose」と表示します。栄養成分表示のTotal SugarsおよびAdded Sugarsに算入されます。 | 欧州委員会決定に基づき、原材料名欄に「trehalose」と表示します。 |
| 近年の見直し | 和洋菓子、パン、冷凍食品、水産加工品等で食感維持や鮮度保持のための基材として広く定着しています。 | 低甘味・高機能性糖質としての利用が進んでおり、砂糖低減や食感改善技術における主要原料の一つとなっています。 | 新規食品ユニオンリスト(Union list of novel foods)への統合管理のもと、加工食品全般での安定した利用が維持されています。 |
資料の公表年とKS2|Know, Select, Stay Wellの調査日は別です。各資料の対象・条件は本文を参照してください。国内外の規制判断は適用地域や評価年が異なります。
特定の原材料を除外して検索しても、その原材料が不使用であることやアレルギー上の安全性は証明できません。購入時には現在のパッケージとメーカー情報を確認してください。