主な論点
脂質の質を重視する場合は製品ごとの栄養成分表示やメーカーの使用油種の公開情報を確認してください。
コクと口溶けを作る
植物由来の油脂の総称です。名称だけではパーム油、大豆油、菜種油などの具体的な種類や脂肪酸組成は判断できません。
菓子やパンの口溶け、食感、焼成時の性質、エネルギー量に影響します。
パーム果肉や大豆・菜種の種子から圧搾または溶剤抽出(n-ヘキサン)により原油を得、脱ガム・脱酸・脱色・脱臭工程を経て精製します。
水素添加処理(部分水素添加油脂)されたものはトランス脂肪酸を含み得ます。
脂質の質を重視する場合は製品ごとの栄養成分表示やメーカーの使用油種の公開情報を確認してください。
「植物油脂」を除外すると、より具体的な油種名で表示された商品が残る場合があります。
根拠の種類:WHOガイドライン(2023)
WHOは飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の摂取と心血管疾患との関連を評価し、摂取量や代替する脂質の質に関する指針を公表しました。
根拠の種類:商品情報の限界
植物油脂は個々の油を特定する表示ではありません。「植物油だから不飽和脂肪酸が多い」「植物油なら飽和脂肪酸が多い」といった評価を、具体的な油種を知らずに判断することはできません。
| 項目 | 日本 | 米国 | EU |
|---|---|---|---|
| 規制の厳しさ | ゆるい | きびしい | きびしい |
| 制度上の扱い | 植物の種子や果実(パーム、大豆、なたね等)から搾油・精製された食用油脂であり、食品添加物ではなく一般食品原料として扱われます。 | 植物油(vegetable oils)として食用に供される一般食品原料です。ただし部分水素添加油脂(PHOs:人工トランス脂肪酸の主因)はGRAS指定が取り消され使用が禁止されています。 | 精製植物油脂として一般食品原料に位置付けられます。規則(EU)2019/649に基づき、最終食品中のトランス脂肪酸含量(天然反芻動物由来を除く)に法的な上限規制が課されています。 |
| 使用条件 | 食用原料として適量使用です。トランス脂肪酸については法的な一律禁止規定はありませんが、農林水産省・厚生労働省による低減指針に基づき業界の自主的な低減努力(部分水素添加油の削減)が進んでいます。 | FDAの2015年決定および2018年最終施行規則に基づき、部分水素添加油脂(PHOs)の食品への意図的添加は全面的に禁止されています(完全水素添加油や未硬化油のみ使用可能)。 | 規則(EU)2019/649により、消費者向け食品中の脂質100g当たり工業的トランス脂肪酸を2g以下に抑える法的一律上限値が義務付けられています。 |
| 原材料表示 | 複数の食用植物油を使用している場合、一括名「植物油脂」での表示が認められています。大豆油等に由来する場合は必要に応じてアレルゲン表示が付記されます。 | 21 CFR 101.4(b)(14)に基づき、「vegetable oil (contains one or more of the following: soybean oil, palm oil)」のように個別油脂名を特定する形式または個別油脂名での表示が基本です。 | 規則(EU)No 1169/2011 Annex VII Part Aに基づき、単に「vegetable oil」とだけ表示することは認められず、「vegetable oils (palm, sunflower)」のように具体的な植物起源(パーム、ひまわり等)を明記する義務があります。完全硬化油は「fully hydrogenated」と明記します。 |
| 近年の見直し | トランス脂肪酸低減技術(分別油やエステル交換油の利用)の普及とともに、パーム油等の持続可能な調達(RSPO認証)への社会的配慮が進んでいます。 | FDAは2023年末にかけて過去の連邦規則集に残存していた部分水素添加油脂(PHOs)に関する旧個別認可・参照条文の全面的な抹消・整理手続きを完了しました。 | 2021年4月から全面適用された工業的トランス脂肪酸上限規制(2g/100g脂質)の遵守確認と、パーム油等におけるプロセス汚染物質(3-MCPDエステル、グリシジル脂肪酸エステル)の最大基準値管理が継続されています。 |
資料の公表年とKS2|Know, Select, Stay Wellの調査日は別です。各資料の対象・条件は本文を参照してください。国内外の規制判断は適用地域や評価年が異なります。
特定の原材料を除外して検索しても、その原材料が不使用であることやアレルギー上の安全性は証明できません。購入時には現在のパッケージとメーカー情報を確認してください。